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キネティックチェーン

キネティックチェーン
キネティックチェーン

福岡天神は、快晴です。10月とは思えないほどの気候になっていました。脱水症状には気をつけて、トレーニングを行ってください。とはいうものの10月の秋の気候も日によっては出てきています。こんな時は、外で体を動かしたくなるものです。

様々なトレーニング理論がある中で、どのトレーニング理論にも、共通するおさえておきたい知識があります。それは、解剖学です。人の身体を向上させる目的で行うトレーニング、ボディーメイクでも、傷害予防でも、共通する部分なのです。

骨格、筋肉、腱、神経系、筋膜、様々なものが重なり合い、繋がりがあり、ひとつの動作が完成します。どの役割を見ても、なくてはならないものです。今回は、キネティックチェーンという考え方に焦点をおき、身体について学んでいきましょう。

キネティックチェーンとは

キネティックチェーンとは
キネティックチェーンとは運動連鎖とも呼ばれます。動作は一つの筋の働きだけで起こっているのではなく、たくさんの筋肉が連動して働くことによって起こっています。筋肉に限らず、身体のアライメントや神経系の働き、心肺機能や代謝など全身の機能が協調して働くことで機能的な動作が生まれるので全身運動を行うことが大切です。

スポーツを行うとき、ある一部分だけを動かすというよりも、さまざまな筋肉や関節などを動かしながら複雑な動作を行うことが圧倒的に多いと思います。

陸上のスポーツは、足を地面につけて動作を始めることが多く、例えば、投球動作であれば地面を使って得られた力を「足→体幹→腕→指」へと伝達し、最終的にボールに力を加えながらリリースすることでより速いボールを投げることができます。

バッティング動作も同じく「足→体幹→腕→手首→バット」へと力を伝え、最後にボールとバットをアジャストさせることでボールを前に飛ばします。このようにさまざまな筋肉や関節などが連動して働くことを「運動連鎖(キネティックチェーン)」と呼びます。

◉運動連鎖に基づく2種類の運動

運動連鎖に基づく運動は大きく2種類に分けられます。それぞれの運動形態を理解しておくと、より良いエクササイズの選択につながります。


OKC=open kinetic chain(オープンキネティックチェーン)
OKCとは「オープンキネティックチェーン:open kinetic chain」を略したものです。エクササイズを行うとき、手先や足先など体からより離れた遠位部にある関節が固定されず、自由に動かせる状態にあるもので、日本語では「開放的運動連鎖」とも呼ばれます。

簡単にいえば体の末端にある足や手が固定されないもので、マシンを使ったトレーニングの多くはOKCです。体幹部を固定し、手は自由に動かせるベンチプレスやアームカールなどもOKCに分類されます。

CKC=closed kinetic chain(クローズドキネティックチェーン)
 一方、CKCは「クローズドキネティックチェーン:closed kinetic chain」と呼ばれ、手先や足先などが固定された状態で行う運動のことを指します。OKCの「開放的運動連鎖」に対し、CKCは「閉鎖運動連鎖」と呼ばれます。

CKCエクササイズは体の末端にある足や手が床などに固定された状態で行うもので、フリーウエイトを使ったものの多くがCKCに分類されます。スクワットやランジは足が固定されており、プッシュアップ(腕立て伏せ)は手が地面に固定されているため、いずれもCKCエクササイズとなります。

このように運動連鎖を意識すると種目のチョイスが変わります。

メリットとデメリット

メリットとデメリット
OKCのメリット・デメリット
メリット
・使っている筋肉以外の部分が固定されるため、ピンポイントで鍛えることができる
・体重がかからないので、自重よりも軽い負荷で行うことができる
・ケガをした後のリハビリエクササイズなどに適している
(例えば腰が痛いときにスクワットはできなくても、体幹を固定したレッグプレスは行うことができる等)

デメリット
・固定されている部分は鍛えることができないため、他のエクササイズを行う必要がある
・スポーツ動作などの複雑な動き、力の伝達効率の向上などには関与しづらい

CKCのメリット・デメリット
メリット
・複数の関節や筋肉を動員させるため、よりスポーツの動作に近づけることができる
・一度に多くの筋肉を刺激するため、より高重量のウエイトを扱うことができる
・全身を鍛えることができるため、トレーニング時間の短縮が見込める
・姿勢を維持することで体幹部も同時に鍛えることができる

デメリット
・エクササイズ動作そのものがむずかしく、スキルが必要となる(専門家の指導を受けることが望ましい)
・正しいフォームで行わないと代償運動(目的とは違った筋肉をつかう)などを引き起こすことがある
・ケガをした選手のリハビリエクササイズには適していない場合が多い(患部にも負荷がかかるため)


エクササイズの選択を行うときは、OKCとCKCそれぞれの特徴を理解した上で実践すると、より良いトレーニングプログラムとなります。同じ部位を鍛える場合、OKCではよりピンポイントで強化することができ、CKCではより多くの筋肉や関節を動員して、よりスポーツの動作に近い動きづくりに役立ちます。

運動連鎖の概念とともにエクササイズの特徴をぜひ普段のトレーニングに活かしてくださいね。

【運動連鎖とエクササイズの種類】
・体の中にある複数の筋肉や関節などが連動して働くことを運動連鎖という
・体の末端が固定されていないものをOKC、固定されているものをCKCと呼ぶ
・OKCは目的とする筋肉を重点的に鍛えやすく、リハビリエクササイズにも適している
・CKCは全身を使いながら複雑な動きを可能にし、体幹部なども強化することができる
・それぞれのメリット・デメリットを理解した上でエクササイズを選択しよう

同時に覚えたいこと

体脂肪率
キネティックチェーンは、運動連鎖の事をさします。つまり、どこかの一部位に焦点を当ててトレーニングを行うのではなく、全体の動きを意識する事が必要になります。

ファンクショナルトレーニングは「特定の筋のみを強化する単関節運動はとても機能的とはいえない。それに対し、多くの筋群を動作パターンに統合していく多関節運動は機能的である。と言われています。

また、ストレングス&コンディショニング分野では、「ファンクショナルトレーニングは"動き"のトレーニングであり、"筋"の強化ではないとも言われています。

リハビリテーションやトレーニングにおいて、問題のある部分や一つの筋のみにアプローチをするのではなく、怪我の予防、パフォーマンスの向上を図るためにファンクショナル(機能的)な動作の習得とトレーニングの実施が必要であるという考え方がファンクショナルトレーニングということになっています。

ファンクショナルトレーニングの5原則

ファンクショナルトレーニングの定義として以下の5原則が挙げられています。

・重力(gravity)を利用する
・分離(dissociate)と協同(integrate)
・キネティックチェーン(kinetic chain)
・3面運動(3dimension movement pattern)
・力の吸収(loading)と力の発揮(unloading)

重力を利用するとは
人は常に重力下で動作を行っています。ファンクショナルトレーニングでは常に重力に抵抗した動作を意識して取り入れていくことが必要です。

分離と協同とは
身体が機能的な動作を行うためには身体の各関節が「動き」と「固定」の役割を分担して持ち、動作時にはそれぞれの役割を協同して行う必要があります。
例えば、足をあげるときには股関節が大きく動き、腰椎は固定に働きます。股関節の動きが十分でなければ腰椎に負担がかかり、腰椎の固定が不安定であれば股関節の十分な動きも得られません。関節ごとに「動き」と「固定」の役割を持って協同して働くという考えを用いたアプローチ。

3面運動とは
3面運動の3面とは矢状面、前額面、水平面のことです。矢状面は前後の動き、前額面は左右の動き、水平面は回旋の動きを指します。動作は前後・左右・回旋すべての動作で構成されているので、トレーニングでも3面の動きを考える必要があります。

力の吸収と力の発揮とは
動作時に力を発揮する前には力を吸収する動作が行われます。例えば、ジャンプ動作では飛び上がる前に、無意識に軽くしゃがみ込んでからジャンプします。このように力を発揮する(筋肉の収縮)前には筋肉を伸ばしてから動作を行っているので、トレーニングでも力の発揮と吸収の動きを取り入れる必要があります。

ファンクショナルトレーニングは、一つの筋肉に対する筋力トレーニングではなく、5つの原則が相互に作用するトレーニングであり、すべての「動作」の基本となる機能的な動きを身につけるためのトレーニングです。

効果

キネティックチェーンをはじめとする5原則を意識したトレーニングを行うことで、下記のような効果を得れる事ができます。

姿勢のゆがみの改善
怪我の予防
肩こりや腰痛の予防
体幹を使った効率の良い動作が行える
シェイプアップ効果

機能的な動きを身につけることで身体のバランスが整い、姿勢のゆがみを改善することができます。姿勢のゆがみが改善され、機能的な動作が行えるようになると、関節や筋肉へかかる負担が軽減され、怪我の予防になります。

全身の血流もよくなり、肩こりや腰痛も起こりにくくなります。体幹を使って姿勢や動作を行い、安定性が増すと身体を効率的に使うことができます。効率的な動作では、動作に必要な筋肉が使われるのでお腹周りやお尻も引き締まり、シェイプアップも期待できます。

まとめ

まとめ
上記のように、動きには連鎖があります。機能的な身体はしなやかで、怪我をしにくい身体です。おそらく見た目も大半は良いと思います。

何か1つの関節の動き、筋肉にフォーカスを当てるトレーニングも良いと思います。今回のように動きにフォーカスするトレーニングも良いと思います。では、何が1番よくないのか、、、という視点でいけば、、、

なぜ、そのトレーニングが必要なのかだと思います。そのトレーニングをしてどんな事が起きるのかを知ってたり、目標にして頑張っているのと、そうではないのでは、トレーニングそのものの効果も半減してしまいます。

ですから、上手くいっていなかったり、一人でトレーニングされている方は、今一度、目的に対してのトレーニングなのか❔を考えていくべきだと思います。

そこが明確になる事で、トレーニングの質をあげる事ができると思います。
是非、挑戦して見てください。