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産後ケアと運動。 健やかな回復を支えるアプローチ

産後ケアと運動。 健やかな回復を支えるアプローチ
産後ケアと運動。 健やかな回復を支えるアプローチ

福岡天神は今日も快晴です。暦の上では秋となっておりますが、まだまだ夏の気温が厳しく、もうすぐ9月だと言うのに、プールに行きたくなるようなそんな陽気です。こんなに暑い中でも、ベビーカーを押しながら公園を散歩しているお母様たちを見ると、子育ての大変さが身にしみるようにわかります。

それでなくても、産後で体力も落ち、筋力も落ち、夜の寝不足を抱えた中で一生懸命頑張って、子育てをされている女性には脱帽をしてしまいます。ですが、この時期は女性にとっても大変重要な時期となっており、人生の中でも3回だけ訪れる体質改善のチャンスなのです。

もちろん上記のように体力面や精神面がとってもしんどい時期だと思いますが、運動することで自律神経も整い前向きにいろいろなことに取り組めるようになる側面もあります。普段から一生懸命頑張っている。お母様たちのお力になれればなと思い、今回はブログを記載していきたいと思います。

1. 産後の身体変化と回復プロセス

1. 産後の身体変化と回復プロセス
1. 産後の身体変化と回復プロセス

産後のホルモンバランスの変化

出産直後、女性の体は大きなホルモン変化を経験します。妊娠中に増加したエストロゲンやプロゲステロンなどのホルモンは、出産後急激に減少します。これにより、産後うつや疲労感が引き起こされることがあり、体の回復プロセスにも影響を与える可能性があります。ホルモンの変化は感情面やエネルギーレベルに影響を与えるだけでなく、体の回復にも時間がかかることを意味します。

骨盤底筋の弱化

妊娠中、胎児の成長とともに骨盤底筋(Pelvic Floor Muscle)は大きな圧力を受けます。これにより、出産後に骨盤底筋が弱くなることが一般的です。骨盤底筋の弱化は、尿失禁や骨盤の不安定感につながる可能性があります。尿失禁は多くの女性が経験する問題であり、産後の生活の質に大きな影響を与えることがあります。

腹直筋離開(Diastasis Recti)

妊娠中、腹部の中央にある腹直筋(Rectus Abdominis)が左右に分かれることがあります。これを腹直筋離開と呼びます。通常、腹直筋は産後に再び元に戻りますが、完全に戻らない場合もあり、それが腹部の筋力低下や腰痛の原因となります。腹直筋離開は、腹部に隙間ができ、見た目にも影響を与えることがあります。この問題を放置すると、さらに深刻な筋肉の不均衡や姿勢の問題を引き起こすことがあります。

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2. 産後の運動の利点

2. 産後の運動の利点

骨盤底筋の強化

産後の骨盤底筋の強化は、尿失禁の予防や骨盤の安定化に不可欠です。特にピラティスやケーゲル運動は、骨盤底筋をターゲットにした効果的なエクササイズです。ピラティスは、体幹の安定性と柔軟性を高めることで、骨盤底筋のサポート力を向上させます。ケーゲル運動は、骨盤底筋を意識的に収縮させる運動であり、日常生活の中でも簡単に取り入れることができます。

腹直筋離開の改善

腹直筋離開の改善には、慎重に設計されたエクササイズが必要です。腹部の筋肉を安全に引き締め、再び結合させることが重要です。適切なピラティスのエクササイズは、腹直筋を強化し、コア(Core)全体の安定性を高めることで、腹直筋離開の修復を助けます。このプロセスは、腹部の見た目を改善するだけでなく、腰痛の予防にも効果的です。

体重管理とメンタルヘルスの向上

産後の運動は、体重管理に役立ちます。妊娠中に増加した体重を徐々に減少させることで、体の健康を取り戻すことができます。また、運動はエンドルフィンの分泌を促進し、ストレスや産後うつのリスクを軽減する効果もあります。エンドルフィンは「幸福ホルモン」として知られており、運動後の気分の高揚感やリラックス感をもたらします。

3. 運動プログラム開始のタイミングと注意点

3. 運動プログラム開始のタイミングと注意点
3. 運動プログラム開始のタイミングと注意点

医師の許可を得ること

産後の運動プログラムを開始する前に、必ず医師の許可を得ることが重要です。特に帝王切開や合併症があった場合、運動を開始する適切なタイミングは個々に異なります。一般的には、産後6〜8週以降に運動を再開することが推奨されていますが、医師の判断が最優先です。無理な運動は体に悪影響を及ぼす可能性があるため、慎重なアプローチが必要です。

徐々に負荷を増やす

産後の体はまだ回復途中であり、過度な運動は逆効果となることがあります。最初は軽い有酸素運動やストレッチから始め、徐々に強度を上げることが大切です。例えば、ウォーキングや軽いヨガなどが適しています。これにより、体が運動に慣れ、筋力や持久力が徐々に向上します。

4、具体的なエクササイズの提案

4、具体的なエクササイズの提案
A. 四つん這い系:手と膝を床につけて四つん這いの姿勢になって、深呼吸しましょう。呼吸をする時にお腹に力を入れましょう。
B. 足をスライド: 仰向けに寝転がって両膝を立てましょう。腹筋を使って片足をまっすぐに伸ばし、もう一方の足を床でスライドさせます。スライドさせた足を元に戻し、今度はもう一方の足で同じ動作をします。これを交互に繰り返しましょう。
C. 膝を高く上げる:寝転んで両膝を立て、片方の膝を曲げながら高く上げましょう。もう片方の足は真っすぐの状態です。この状態で自転車を空中でこぐ動作を繰り返しましょう。
D. かかとタッチ:床に仰向けに寝転んで、膝を曲げ床と平行な状態にキープします。一方の足のかかとを床にタッチしてまた平行な状態に戻す動作を、片足ずつ繰り返します。両足のかかとを同時に床にタッチすると難易度があがります。背中を床にぴったりとつけておくのがポイントです。かかとを床にタッチするとき背中が痛むようなら、タッチする直前で足を戻しましょう。
E. 足のストレッチ:仰向けに寝転びます。ふくらはぎを床に平行な状態にして、両足をお尻の上まで上げましょう。片方の足を斜めに床から少し上げた真っすぐの状態で止めましょう。もう片方の足でも交互に繰り返しましょう。


2. 軽い筋力トレーニング

出産後のママの体を元に戻すには、筋力トレーニングでの筋肉の強化が大切な役割を果たしています。 お医者さんが問題ないとGoサインを出したら、まずは背中や下腹部などを中心に筋トレを始め、徐々に腕や足などの筋肉強化へと幅を広げていきましょう。

筋トレには、筋肉の調整、メタボ対策や体重を減らすだけではなく、心の落ち着きをもたらす効果もあります。

まずは、近くのジムに入会したり、自宅でできる筋トレ動画やアプリを参考にしたり、マンツーマンで指導してくれるトレーナーを探してもいいですね。筋トレにはたくさんの方法があります。体重管理のためレジスタンストレーニングを行う人もいれば、ダンベルやエクササイズバンドを使って筋トレをする人もいます。

筋トレについては、帝王切開で出産したママには、お医者さんが最初の6週間は赤ちゃんよりも重いものを持ち上げないようにと指導することがあります。帝王切開後の傷口の回復が最優先なので、覚えておきましょう。

3. 産後ヨガ

産後は心や体の不調が起こりやすい時期。また、ママは赤ちゃんのお世話で大変ですね。産後の不調を整え、無理なく続けられる産後ヨガのような体操を考えているママもいるでしょう。今はオンラインの産後ヨガのクラスもあるようですので、一度探してみるのはおススメです。

また、お医者さんが問題ないと言ったら、お家で心地よくできる「ハッピーベイビー」ヨガのポーズをやってみましょう。出産後に大きなダメージを受けた骨盤低筋肉を和らげ、張りを引き出すおススメのポーズです。

このようなポーズをするためには、まず仰向けに寝て、脚を肩幅に開き、両膝を軽く立てて、胸の方向に持ってくるようにやってみましょう。腕が両膝の間に来るような状態で、足やくるぶしの外側を掴んでください。その後、ゆっくりと下に引っ張りましょう。足の裏側が上を向き、天井に並行の位置であることに気をつけましょう。90秒、この姿勢を保ちましょう。

4,ピラティス

ペルヴィック・ティルト
期待できる効果
硬くなりがちな腰椎、股関節の柔軟性を高める
骨盤調整
腰痛予防
エクササイズのポイント
仰向けになり、腕は身体の横に伸ばす
膝と股関節を直角に曲げ、壁に足裏を付ける
足の幅はこぶし1つ分開き、息を吸って準備
息をすべて吐きながら背骨を床に押しつけ、恥骨から徐々に骨盤を後ろに傾け床から少しお尻を浮かせる
骨盤にためた水を優しく揺らすように、太ももの筋肉を意識しながら小さく動かす
お尻を高く上げると腹筋や太ももの裏側、おしりの筋肉を強化できる。
骨盤を後ろに傾けお尻を持ち上げてもとに戻す、を繰り返します。

注意点
骨盤の小さな動きを意識して動かす
太ももの裏側の筋肉(ハムストリングス)を使う
上半身には力を入れない

トゥディップ
期待できる効果
体幹強化
腹筋強化
腰や骨盤部の安定
エクササイズのポイント
仰向けになり、腕は身体の横に伸ばす
膝と股関節を直角に曲げる(テーブルトップポジション)
足の幅はこぶし1つ分開き、息を吸って準備
脊柱はニュートラルで仙骨を床につけた状態をキープ
息をすべて吐きながら片足を床に向かって指先をディップするように優しく下ろし、吸う息で開始位置まで戻す
骨盤にためた水を優しく揺らすように、太ももの筋肉を意識しながら小さく動かす

注意点
骨盤・脊柱はニュートラルをキープ
コアが抜けると腰を痛めやすくなるので注意
足の上げ下げは勢いよく行わない


スパイナル・ローテーション
期待できる効果
背骨のS字カーブを取り戻す
呼吸を深める(ストレス解消・リラックス効果)
猫背改善
エクササイズのポイント
横向けに寝て、腕は肩の高さで合わせる
膝と股関節を直角に曲げる
骨盤を安定させるよう意識する
息を吸い上の腕を天井方向に持ち上げ、目線は追いかけるように胸を開く
吐きながら身体の後方に腕を動かし、自然と上体が回旋する
再度息を吸い、開いている側の肺に息を送り、吐く息でさらに回旋を深める
息を吸いながらゆっくりと手を戻し、吐く息で腹筋を締め上体を回旋し元のポジションに戻る

注意点
骨盤は前に向けたまま上体を動かす
頭がつらい場合は、枕や下の腕を頭の下におく
産後にピラティスを行うときの注意点

最後に、産後にピラティスを行う時の注意点をお伝えしていきます。
産後のカラダの状態には個人差があります。また、育児によるカラダの疲労もあるので無理をしないように体調と相談しながら始めるようにしましょう。

産後にピラティスを行うときの注意点
1ヶ月検診の時に担当医から運動の許可を得る
初心者の方はインストラクターの指導のもと行う
無理のない強度とペースで行う
体調の悪い時やカラダに違和感を感じる場合は無理に行わない

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まとめ

まとめ
産後に運動した方が良い理由を以下にまとめます。

身体の回復を促進する:
筋力の回復: 妊娠や出産で弱くなった骨盤底筋や腹直筋を強化し、体幹の安定性を取り戻すことができます。
体重管理: 妊娠中に増加した体重を運動によって減らし、健康な体型を維持するのに役立ちます。

精神的な健康を支える:
産後うつの予防: 運動はエンドルフィンの分泌を促進し、気分を高め、ストレスを軽減するため、産後うつのリスクを減らします。

自己肯定感の向上: 体力の回復や体型の改善が自己肯定感を高め、育児への積極性や満足感を向上させます。
日常生活の質を向上させる:
疲労感の軽減: 適度な運動はエネルギーレベルを向上させ、育児に必要な体力を維持できます。
腰痛や尿失禁の予防: 特定のエクササイズは腰痛や尿失禁のリスクを軽減し、快適な生活を支えます。

長期的な健康をサポートする:
骨密度の維持: 運動は骨密度を維持し、将来的な骨粗しょう症のリスクを減らします。
心血管系の健康: 有酸素運動は心血管系の健康を維持し、長期的な健康をサポートします。
これらの理由から、産後に適切な運動を取り入れることは、身体的にも精神的にも多くの利点があるといえます。