BLOG カラダの豆知識

変形性膝関節症

変形性膝関節症
変形性膝関節症

福岡天神は、猛暑になっております。37度を超える気温でも秋、冬のマラソン大会に向けて汗を流している方を見ると脱帽してしまいます。どうか、熱中症だけは気をつけて水分と塩分、適度な休養をとりながら計画的に運動へ挑戦されてみてください。

この暑さで、エアコンをつけている方も多いと思いますが、この暑さですから、エアコンをつけるのは正解として、やっぱり体は冷えてしまいます。なのに、汗はしっかりかいているので、水分摂取はやっぱり少なくなります。そうすると、筋肉は硬くなり、膝、肩、腰、背中に痛みが出たりします。

特に、これに加ええて運動をされている方は、筋肉の硬直が進みやすくなるでしょう。ですから、いつも以上の水分摂取とストレッチが必須になるのです。体が硬くなると、筋肉は硬直し関節に負担をかけてしまいます。今回は、女性に多い変形性膝関節症について記載をしていきたいと思います。

変形性膝関節症とは❔

変形性膝関節症とは❔
変形性膝関節症って?

変形性膝関節症とは、関節のクッションである軟骨が、加齢や筋肉量の低下などによりすり減って、痛みが生じるものです。

軟骨がすり減った分、膝関節の骨と骨のすき間が狭くなって内側の骨があらわになり、骨のへりにトゲのような突起物ができたり、骨が変形したりします。

また、関節をおおっている関節包(かんせつほう)と呼ばれる繊維膜の内側に炎症が起こるため、黄色味がかった粘り気のある液体が分泌され、いわゆる「膝に水がたまった」状態になります。

変形性膝関節症(一般に膝OAと呼称される場合があります)とは、先天的要因や関節の過使用により、衝撃吸収に作用するクッションの役割の関節軟骨が減少したり、関節が変性し骨棘(骨の棘)ができて膝関節に痛みが出る病態を言います。

変形性膝関節症は50代以降の年齢に多く、2004年の日本人口から患者数を概算すると男性840万人、女性1,560万人の計2,400万人と推測されています。

進行するとO脚(内反変形)またはX脚(外反変形)に変形します。初期症状は違和感があったり軽い痛みがある程度ですが、進行すると歩行時や階段昇降時、正座を行うときに膝関節に痛みが出る場合があります。本邦ではO脚が多く、重症例では歩行不能となり、日常生活動作(立ち上がり、歩行、階段など)が著しく制限されることがあります。

初期:長距離歩行後の膝関節の痛みの出現や、起立・着座動作時、または歩行開始時の疼痛が特徴的です。
中期:膝関節の曲げ伸ばしがやりづらくなったり、歩行時の痛みの増悪、階段昇降や正座が困難になります。
末期:夜間痛(痛みで眠れない)や安静時痛(じっとしている時に痛い)が起こります。また膝関節の変形が目立ち、膝関節の曲げ伸ばしがさらにやりづらくなり歩行が困難になります。

変形性膝関節症の各段階の症状

変形性膝関節症は時間をかけて進行し、徐々に症状が重くなっていきます。変形性膝関節症の進み方を3つの段階に分けてみていきましょう

できるだけ早く治療を始め、病気の進行を食い止めることが大切です。

初期症状
起床後、からだを動かし始めたときに膝のこわばりを感じます。起き上がったり、歩き出そうとしたりすると、なんとなく膝がこわばる、重くて動かしにくい、はっきりわからないような鈍い痛みを感じるなどの自覚症状が現れます。しかし、しばらくからだを動かすと自然と治まるため、あまり気にならない場合が多いようです。もう少し症状が進むと、正座や階段の上り下り、急に方向転換したときなどに痛みを生じるようになります。

中期症状
中期になると、しばらく休んでいたら治まっていた膝の痛みが、なかなか消えなくなります。正座や深くしゃがみこむ動作、階段の上り下りなどが、膝の痛みがつらくて困難になります。関節内部の炎症が進むため、膝が腫れて熱感も生じます。関節液の分泌量が増えるにしたがい、膝の変形が目立つようになるほか、関節がすり減って摩擦が大きくなるため、歩くときしむような音がします。

末期症状
関節軟骨がほとんどなくなり、骨同士が直接ぶつかるようになります。この段階になると、初期、中期段階でみられた症状がすべて悪化して、普通に歩いたり、座ったり、しゃがんだりするのも困難になります。日常生活にも支障をきたし、行動範囲が狭まるため、精神的な負担も大きくなりがちです。
このように、膝の痛みは段階を経て悪化していきます。膝に生じているこわばりや違和感、痛みは、もしかすると変形性膝関節症の初期症状かも? 思い当たった方は、一度医療機関の診察を受けてみてはいかがでしょうか。

世界的にみた変形性膝関節症

世界的にみた変形性膝関節症
変形性膝関節症は世界的に広く認知されている関節疾患の一つです。
以下に世界的な知見や統計データに基づく主な情報をいくつか挙げます:

高い発症率: 変形性膝関節症は、高齢者によく見られる疾患であり、世界中の高齢者の約10%がこの病気に罹患しているとされています。

女性に多い傾向: 変形性膝関節症は女性に男性よりも多く見られる傾向があります。女性ホルモンの影響や体格の違いなどが関係していると考えられています。

リスク因子: 肥満、関節への過度な負担、遺伝的な要因、関節の怪我などが変形性膝関節症の発症に関連しています。

世界的な経済的負担: 変形性膝関節症は、慢性的な関節痛や身体機能の低下により、患者の日常生活に大きな影響を与えるだけでなく、医療費や社会経済的な負担も大きい疾患です。

治療法の進化: 現代の医療技術の進化により、変形性膝関節症の治療法も進歩しています。関節鏡手術や膝関節全置換術などの手術的治療法の向上が行われています。

予防の重要性: 変形性膝関節症は一度進行すると完全に治癒することが難しいため、予防が重要とされています。適切な運動、体重管理、関節への負担を避けることなどが予防策として挙げられます。

これらの知見は、変形性膝関節症に対する世界的な研究や統計データに基づいています。ただし、地域や個人の状況によって発症率や治療法に差がある場合があります。医学の進歩により、より効果的な治療法の開発や予防の重要性が認識されており、患者の生活の質を向上させるための取り組みが続けられています。

変形性膝関節症と運動

変形性膝関節症と運動の関係性は、複雑なものです。一見矛盾しているように感じられるかもしれませんが、実際には適切な運動が変形性膝関節症の管理や予防に重要な役割を果たすことがあります。以下にその関係性をいくつか説明します:

適切な運動による強化: 運動は関節周囲の筋肉や靭帯を強化し、膝関節をサポートする役割を果たします。適度な筋力トレーニングや有酸素運動は、膝関節への負担を軽減し、関節の安定性を高めることができます。

適度な負荷での運動: 運動によって適度な負荷をかけることで、骨密度の維持や向上を促進することができます。骨密度が低下することで骨折のリスクが増加するため、変形性膝関節症患者にとっても重要な点です。
運動による体重管理: 変形性膝関節症の患者は肥満や過体重であることが多いです。適切な運動によって体重を管理することができれば、関節への負担を軽減し、痛みや炎症の緩和につながる可能性があります。
運動による関節液の循環: 運動は関節の周りの液体(関節液)の循環を促進します。関節液には栄養分が含まれており、これが関節の健康維持に役立つと考えられています。
ただし、変形性膝関節症の場合、運動を行う際に注意すべき点もあります:

過度な負荷を避ける: 関節に過度な負荷をかけるような激しい運動は避けるべきです。関節への負担が増すと症状を悪化させる可能性があります。

痛みを伴う運動の回避: 痛みを伴う運動は避け、痛みを感じる場合は適切な休息を取るようにしましょう。
医師の指導を仰ぐ: 運動計画を立てる際は、専門の医療専門家と相談し、個々の症状や体力に応じた適切な運動方法を確認することが重要です。

総じて、変形性膝関節症の場合も運動は重要ですが、適切な種類と程度の運動を行うことが大切です。無理な運動は逆効果になることもあるため、個々の状態を考慮して運動プランを立てることが必要です。

このような研究結果もあるそうです。

このような研究結果もあるそうです。
研究は、2003年に公表された5000人の被験者を対象にした大規模な調査です。この研究では、身体活動量と変形性関節症の関係を明らかにすることを目的として、ランニングやウォーキングなどの身体活動の頻度、期間、強度を聴取し、4年、9年、13年後において継続的に関節変化を検査しました。

研究結果によれば、身体活動量の増加は関節症に寄与していないことが示されました。つまり、ランニングやウォーキングなどの身体活動を行っても、それが変形性関節症の発症や進行に直接的な影響を与えるわけではないということが分かります。

この結果は、運動を楽しむことや健康を維持するために適度な身体活動を行うことが、変形性関節症のリスクを高めることはないことを示唆しています。

一方で、変形性関節症の増悪因子としては、高いBMI(体重指数)や高齢、過去の外傷が報告されています。高いBMIは関節に対する負担を増加させ、関節症の進行を促進する可能性があるとされています。

また、加齢によっても関節の軟骨が劣化するため、関節症の発症リスクが高まると考えられます。過去の外傷は関節にダメージを与え、その後の関節の健康に影響を及ぼすことがあるため、関節症の増悪要因とされています。

この研究結果からわかるように、変形性関節症のリスクには様々な要因が影響しています。身体活動量が直接的な関連を持つとはされていませんが、適切な運動を通じて体重の管理や健康維持を行うことは、関節の健康をサポートする一助となる可能性があることを考慮すると良いでしょう。

ただし、具体的な症状やリスクに関しては個人差がありますので、変形性関節症の疑いがある場合は医療専門家と相談して適切なアドバイスを受けることが重要です。

ランニングにおける変形性膝関節症の予防方法

ランニングにおける変形性膝関節症の予防方法

ランニングでの着地における、膝の負荷を減らすことに尽きます。
それには、

適正体重のコントロール
筋力をつける
正しいフォームで走る

以上3点が重要です。

特に体重増加は変形性膝関節症に大きく関与するので、そのコントロールに努めましょう。
筋力をつけると同時に、基礎代謝を上げ適正体重を維持することにもつながると思われるのが、大腿四頭筋を鍛えるトレーニングです。

ピラティスと膝関節症

上記でお伝えしたとおり、変形性膝関節症とは、長い距離を歩くと膝が痛くなる、立ったり座ったりするときに痛い、階段の昇り降り、特に降りるときに痛む、膝の曲げ伸ばしがつらいというのが、変形性膝関節症の代表的な症状です。

関節リウマチや骨壊死の場合は、安静時や夜間に痛みますが、変形性膝関節症の場合は、動いていると痛くなるのが特徴です。このような症状は、加齢や筋肉の衰えが原因で、肥満、O脚、遺伝などが危険因子とされます。

膝関節の“クッション”になっている部分がすり減ってしまうために引き起こされるのが主な原因です。中高年の女性に多いのも特徴で、40歳以降に発症が多く見られ、高齢になるほど罹患率は高くなります。

変形性膝関節症の予防には「膝の筋肉運動」「膝の動きを硬くしないためにおこなう可動域(動かせる範 囲)訓練」があります。この2つの運動をピラティスで行うことが出来ます。

まとめ

まとめ
変形性膝関節症をお持ちの方に向けて、ピラティスや運動のメリットについてですが

変形性膝関節症は、関節における軟骨の劣化が原因で痛みや機能障害が生じる疾患ですが、適切な運動は症状緩和や関節の健康をサポートする重要な要素なのです。ピラティスと運動の効果を見ていきましょう!

筋力強化と関節安定性の向上
ピラティスや運動は、関節周囲の筋肉を強化するのに効果的です。特に太ももの四頭筋やハムストリングス、腹筋などの筋肉を鍛えることで、膝関節の安定性が向上します。関節のサポートが強化されれば、日常生活での負荷にもより良く対応できるため、痛みの軽減や機能の向上につながります。

軟骨の栄養供給と関節液の循環促進
運動によって関節を動かすことで、軟骨に栄養が供給されることがあります。さらに、運動によって関節液の循環が促進されるため、膝関節の潤滑性が向上します。これにより、膝の動きがスムーズになり、痛みを和らげることが期待されます。

体重管理と負荷軽減
変形性膝関節症では、体重が関節にかかる負担を増加させる要因となります。運動を通じて体重を適切に管理し、過度の負荷を軽減することは非常に重要です。ピラティスや運動は、カロリー消費を促進するだけでなく、筋力強化によって体重のコントロールをサポートします。

緩和効果とストレス軽減
運動には、体内でエンドルフィンと呼ばれる快感をもたらすホルモンの分泌が促進されるというメリットもあります。これにより、運動をすることで気分がリフレッシュされ、ストレスの軽減にも繋がります。リラックスした状態で行うピラティスは、心身のリラックスにも一役買ってくれるでしょう。

まとめ

変形性膝関節症をお持ちの方にとって、ピラティスや運動は多くのメリットをもたらします。筋力強化と関節安定性の向上、軟骨の栄養供給と関節液の循環促進、体重管理と負荷軽減、そして緩和効果とストレス軽減の効果が期待されます。ただし、無理な運動は逆効果になることもあるため、医療専門家の指導のもとで適切な運動を行うことが大切です。ぜひ、自分に合った運動を見つけて、健康な膝と心身を目指しましょう!