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パフォーマンス心理学

パフォーマンス心理学
パフォーマンス心理学

パフォーマンス心理学やスポーツ心理学というキーワードは、スポーツをしていると良く耳にする言葉だと思います。境地の場面で必ず活躍する選手をメンタルが強いなどと表現をする事があります。一方で、練習では誰よりも上手く行くのに、決まって大事な場面でミスをしてしまう。という場面にもよく出くわします。

科学的な根拠をもとに、上手く行く方、そうでない方との違いに気づく事が出来れば、フィジカル面以外のところで、パフォーマンスをあげる事ができるかもしれません。重要ことは、これは、アスリートだけが対象ではないという事です。ビジネスマンにしても、プレゼンなどでパフォーマンスを発揮する方法を知る事で、毎日にメリハリが出来て楽しく過ごす事ができるようになるかもしれません。

しかしながら、「スポーツに関わっている人が最大のパフォーマンスを発揮すること」をテーマにする事で、分かりやすくなるので、今回は、その点を中心にお伝えして行こうと思います。

人間が鍛えられる要素を知る

人間が鍛えられる要素
スポーツ心理学の世界で、大変有名なマイケル・ジャーヴェイス博士は、人間が鍛えられる要素は3つだといっているそうです。1技能2身体3心理だそうです。ゴルフで、例えると、打ち方を練習するのは、技能です。体幹などを鍛えたり、トレーニングをして身体を強くする事は、2の身体です。

しかし、3の心理は、なぜか小さい時から選手になっても、あまりやる事はなく、競技生活を送っている方がほとんどなのです。こういった話が出ると、日本では、根性論と同化してしまいがちですが、これは、メンタルスキルであり、根性論とは別のものになります。

技能や身体と同じように、科学的根拠のあるメンタルスキルを手にすれば、いつでも、パフォーマンスを発揮できる状態を作り出す事が出来ます。まずは、その概要を知ることから初めて行きましょう。

パフォーマンス心理学

孫子が言っていた言葉の中にこんな文面があるそうです。
“成功するかどうかは誰も分からない。 ただし戦いの準備はできる。 あなたの意識の全てを集中し、 最善の方法をとりなさい。 そうする事により、あなたは「強み」を 持つことができる。”

という言葉があったそうです。このようなマインドに持って行くために最前を尽くす事も大切な事だそうです。その中で気にかけて行く言葉が次になります。
無心・フロー・既にもっている能力を駆使する・落ち着き・進歩の流れ・緊張度の微調整

この6つの言葉が、心理的に整った状態、パフォーマンスを発揮しやすい状態と言われています。
一人で、この状態に持って行くには、なかなか難しく理解しにくいので、自分をコーチするつもりで、コーチ目線で考えて見ましょう。

無心

無心
スポーツの現場でも、無心になって打席に立ちなさい、余計なことは考えるな、など、コーチから言われたり、実際にそのような感覚になって上手くいった経験を持っている方もいると思います。この無心の状態はなんなのか。

それは、最も高いレベルで卓越した パフォーマンスを実現することのできる状態と言われています。東洋の伝統的な「無心」という言葉は、西洋では、ゾーンとも呼ばれています。「ピン」とくるような、説明しにくい経験をした事がある方は、その時に、ゾーンに入っていたかもしれません。

フィットネスプロフェッショナル(コーチ)の役割としては、まず、選手が「無心」の状態を見つける為の手助けをする事が大切になります。それは、 心理的言葉掛け(質問、問いかけ)を使う事で成り立つ可能性が高いです。アスリートが理想的な心の状態を見つけ出す ロードマップを作る事も必要です。

いわゆる、イチロー選手が、打席前に行う儀式的な動作は、つまりルーティーンもその一つかと思います。どうやったら、自身が、そのもの自体に集中出来るかを見つけ出すことは、アスリートにとって必須要素かと思います。

「フロー(集中)」 →他のことを何も考えず、今行っていることに夢中になる意識状態を指しています。
フローはある場面での要求が挑戦的で、その要求を満たすために、自分のスキルが十分であると認識した時に起こりやすいそうです。もしその挑戦が容易だと理解すると退屈を感じてしまうために集中力は落ちてしまいます。

トレーニングの中でも、同じ事が言えます。少し手が届きそうで届かない種目などを最初に行います。その後から、確実にできる種目へと移行する事で、集中力と達成感を得る事ができます。

このように、トレーニングメニューも、神経や心理が密接に関わっているため、マンネリ化しているトレーニーは、色々とチャレンジを繰り返すようなメニュー構成にするのも体質改善や、パフォーマンスアップには必須要素かと思います。

既に持っている能力を駆使する

前項でもお伝えしたように、コーチ目線で自分自身に問いかけて行きましょう。本来は、これらを身近なコーチが行ってくれるのがベストではありますが、自分自身も理解して、パフォーマンスアップに向き合うと、より効果を得やすいかと思います。

◉理想的な心の状態」に辿り着く方法に関する質問を考える
1「経験上、最も高いパフォーマンスを発揮した時の事を 思い返してください。」
2「何を覚えていますか?」
3「何を考えていましたか?」 「その最高の結果を出すために、何をしていましたか?」
4「何がそのレベルを実現するのに必要だと気付きましたか?」

この内的作業が理想的なマインドセットへと導く方法です。 しかしアスリートによっては簡単な作業ではない事は頭の片隅においておきましょう。選手は、考えるだけでなく、一度、紙などに記載し、それを誰かに話す事で、また、さらに頭の中の整理をする事ができるかもしれません。

再度、理想的な心の状態を作る質問

理想的な心理状態を作る
コーチは、現場では、アスリートの心理的状態を良い方向に導くスキルが必要になる。選手本人であれば、どのような状態がベストパフォーマンスを発揮できるかを知っておくと強みになる。下記のような視点も持つ事でその手がかりになる為、試してみる価値はあるかと思います。

◉今、目の前にある課題に集中することは最適なパフォーマンスの重要な要素である
◉現在に焦点を当てた質問をすることで 結果ばかりを気にする考え方を転換し 「理想的な心の状態」と現在の状況を繋げる
◉質問は、アスリートを今この瞬間に向わせ、 アスリートの行動を制御させ、 精神的・感情的障害を減らす / 取り除くよう働きかける

◉「そうなるために、今何ができますか?」
◉「肉体的な強度を上げるために、何ができますか?」
◉「精神的な強度を上げるために、何ができますか?」
◉「その強度の中で、落ち着く感覚をどのように見つけますか?」
◉「自身を持つために、自分にどのような問い掛けをしますか?」
◉「パーソナルベストを出すために、何に集中しますか?」
このように、問いかけを繰り返して行く事で、このプロセスが最適のパフォーマンスを引き出すことにつながる。

アスリートが備えるべきマインド

冒頭で述べたように、人間は、3つの要素を鍛える事ができる。1技能2身体3心理です。しかし、心理は置き去りが多い事もお伝えしました。心も身体を鍛えるのと同じように トレーニングしなければいけない。という事は、ここまでの流れで、何と無く理解して頂けたかと思います。では、もう少し深掘りして行きましょう。

アスリートが備えるべきマインド は、落ち着き、進歩の流れ、緊張度の微調整です。では、まずは落ち着きから。
◉落ち着き
・課題に関する指示に集中する能力は パフォーマンス成功のために重要な要素である
・パフォーマンスにおいて、周囲の状況により集中すればするほど時間がゆっくり流れるように見えるが、内部に集中すると、それだけ時間が早く過ぎるように見える
・トレーニング中の決定的な瞬間で、アスリートの集中を外部に向けることで、試合中のアスリートを落ち着かせることができる
まずは、上記の内容を把握しておきましょう。

集中の種類

集中の種類
集中と一言で言っても、内的な集中と外的な集中があります。そして、広い集中と狭い集中もあります。
・内的で狭い集中→心理的なイメージ、努力、今ここへの集中
・内的で広い集中→分析と計画、計画と選択肢の再考
・外的で狭い集中→1つのターゲットを絞る
・外的で広い集中→大きな絵への気づきや、周囲の状況への集中

このように、集中にも色々な種類があります。場面場面で、どの心理状態が適切かを見極めて行く事も必要です。また、他にも下記のような状態もあります。

◉闘争-逃走反応
これは、動物/人間の交感神経が反応するような恐怖への反応や、人間/動物を闘争や逃走に掻き立てる。生理学的反応を指しています。
→以下のホルモン分泌を促す ・エピネフリン ・アセチルコリン ・ノルアドレナリン ・ステロイドストレスホルモン
→呼吸数や心拍数を増やす

アスリートの緊張度を管理する

まず、コーチとアスリートは、緊張度がどのようにパフォーマンスに影響するのかを理解すること、そのアスリートにとっての理想的な緊張度を知ることが大切になります。また、自律神経の働きを理解して、試合の緊張度を抑制する方法を理解することもゲームメイクや、ビジネスマンでは、プレゼンを成功させるコツにつながるかもしれません。

逆U字仮説という物があります。自律神経で言えば、交感神経と副交換神経のバランスのことになりますが、当然の事ながら、副交感神経が働きすぎていると落ち着きすぎており、興奮の不足(低いパフォーマンス)になりがちです。逆に、交感神経が優位になり過ぎると、興奮しすぎ(低いパフォーマンス)に、これもなりがちになります。

この中間に位置する興奮度合いが、ベストパフォーマンスを発揮する状態にあると言われているのが、逆U字仮説です。これをもとに、コーチは、選手への声かけや環境の変化をさせて行く事が重要な仕事の一つであると思います。

緊張度の微調整の方法

◉生理学的な反応も把握する
・心拍数、腺や皮膚の活性化 ・行動学的な反応
・運動活動、コーディネーション、ペース
・認知的、感情的な反応 →退屈、恐れなど
◉ 呼吸
・緊張度を調整する、簡単で有効的な方法
・穏やかな心拍数 = 落ち着き
・内的な言葉掛け(自身の考えから来る不安感)の影響を受けづらくする
・最適な緊張度を見つける

◉気をつける事
ネガティブな影響を与える要因も抑えておく。
・ネガティブセルフトーク
・パフォーマンスの結果に焦点を当てること
・自然な体の感覚の誤認識(手に汗をかく、心拍数の増加、口の乾き)
・ミスしたことへの注意集中
・相手の技術レベルへの強迫観念
・コーチや家族からの期待

◉セルフトーク
・思考や考えの内的・外的な対話
・誰でも思考中はセルフトークを行っている
・自身の声を認知する
・ネガティブからポジティブへの直接的な考え方のシフト
・新しい事を習う時に有効

◉イメージ
・モチベーション、自信、集中を高める
・内的/外的の両方で活用できる
・五感全てを利用する
・脳も筋もイメージに反応する

このようなスキルを駆使して、パフォーマンスを上げる為の手段を選び実行して行くことをお勧めします。

まとめ

まとめ
このように、心理は、大きくパフォーマンスに関わる事が理解して頂けたかと思います。いつも頑張っているのに結果が出ないアスリートや、ビジネスマンの方は、1度、試してみる価値があるかもしれません。きっと、自身のウィークポイントを発見できる手がかりになると思います。

しかしながら、このような内容は、メンタルが弱い、メンタルが強い、根性がある、根性がない、という話で済まさないで欲しいなと思います。これは、スキルなのです。勿論、天然でこのような事が出来てしまう方もいると思います。ですが、そのような事ができるのは、ほんの一握りの人間であることを理解しておきましょう。

多くの場合は、このあたりで、苦しむアスリートが多いはずです。他と比べずに、自身に集中して、今出来る事を確実にする事で、小さな成功の積み重ねが、いずれ大きな成功へと導いてくれると思います。
今、苦しくてたまらないアスリートやビジネスマンの方に、是非試して頂ければ幸いです。

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